エキゾチカ(エキゾチックな文化)への憧れがあります。19世紀-20世紀に西洋で注目された、アフリカや中東、アジアの文化です。お前はオリエンタル側の人間だろと思うかもしれませんがそれはちょっと違うのです。未知なる文化が西洋で歪んで解釈されたところが面白いんです。
フランスではパリ万国博覧会をきっかけに日本の浮世絵や工芸品が大量に輸入され画家のクロード・モネや作曲家のモーリス・ラヴェルへ大きな影響を与えました。
ポップミュージシャンの細野晴臣はその西洋によるオリエンタル的解釈をアジア人として逆にオマージュすることを探りました。細野氏の「トロピカル・ダンディー」「泰安洋行」「はらいそ」という3つのアルバムはトロピカル三部作と呼ばれ今でも愛好されています。
またブラックミュージックも大好きです。私はブラックミュージックをアフリカン音楽が西洋に輸入されポップミュージックとして昇華したものだと解釈してます。R&BだとJackson 5やスティーヴィー・ワンダー、Jazzだとオスカー・ピーターソンやキャノンボール・アダレイが大好きです。オスカー・ピーターソンのピアノは他のジャズピアニストと比較しても頭ひとつ抜けていると思う。
エキゾチカの魅力は参照された文化と文化を取り入れた人々の独特な緊張感にあると思います。このような西洋による文化の取り込みというのは威圧的・支配的な側面があります。対等な主体間での純粋に有機的な交流というよりはフランスの帝国主義的拡大、貿易、そして政治的意図によって駆動された非対称的なものでした。そもそもエキゾティシズムとは産業化する社会への不安を癒すために、他の文化を原始的であって劣っていると見做す必要があったと考察することができないでしょうか。
しかし、一方で参照された文化はその魅力によって西洋人への反発をすることができました。ある意味既存の西洋文化を破壊したのです。プリミティヴィスムはピカソやゴーギャンなど著名な芸術家の心を奪い、ブラックミュージックはアメリカの音楽シーンを席巻しました。この痛快さが好きなのです。